(未使用)南大東島だより

南大東島便り

南大東のアイドル

南大東も本格的に夏に突入して
夏休みに入った子供たちが元気に
走り回って、転んで、泣いて
新しい南大東の魅力をまた一つ
見つけてくれそうです。

“COR COR”も出来上がってきて
工場見学も南大東観光の名所の一つに加わっています。

絶壁の海岸線や星野洞
シュガーとレインの廃線跡
真っ平らの大地に広い夜空
いくつかの名所を堪能しに
少しづつ観光客数も増えているように思います。

観光客の方によく訪ねられるのが
“COR COR”のラベルにも
載っている“ダイトウオオコウモリ”
「コウモリはどこで見られますか?」

ダイトウオオコウモリは南大東のアイドルです。
大きな翼にモコモコの白い毛皮で
夜見つけて近づいてもあんまり嫌がらないで
暢気に見える仕草は愛くるしくて、
季節によっては夕方、幕の近くで
耳元をかすめて飛んで行ってびっくりさせられたり
身近に暮らす大切な友達です。

オオコウモリを知らない人は
「コウモリなんて気持ち悪い!」なんていう人も居ますが
一度見たらその可愛さの虜になります。

でも、ダイトウオオコウモリは天然記念物で
レッドデータブックに載っている希少野生生物。
そんな簡単には見ることは出来ません。
遺体だって法的には触っちゃいけないんです。

普段は高い木の枝にぶら下がっています。
たくさんある鍾乳洞の穴の中には居ません。
ブチャむくれの小型コウモリのように
超音波を出して虫を捕まえたりしません。
甘いクワの実やアコウの若葉などのベジタリアンで
顔はタヌキかキツネのようです。
英名では“Flying Fox”と付けられています。

おとなで翼を広げると1mぐらい
コウモリの中では一番毛足が長いので
モコモコのぬいぐるみのようで
しかも上半身は白い毛で覆われています。
更にオスのおとなは首の周りが
黄色に染まってホント美しいです。

天気が良くて風があまり無い夜には若いオスが
人里近くに出てきて見かけることができます。
居る場所は季節によって餌になる木によって
コロコロ(COR COR)変わります。
小学校の校庭のビロウやヤシの樹
大東神社の境内、玉置公園の森の中

残念ながら黄色い美しいオスは
ほとんど人里で見ることは出来ません。
見られるとすればフクギの実がなる時期
8月ぐらいにフクギの実が熟すると熱狂的に集まってきます。
南大東ではフクギは人里に多く植えられています。
毎日たくさん集まるのはその間の2週間ぐらいだけ。

だから、ただコウモリの姿を見に来るのではなく
コウモリの生活に触れましょう。
昼間明るい時にコウモリの餌場を探すのです。
コウモリの餌場は樹の下が食べ散らかされています。
その中にペリットと呼ばれる食べカスが落ちていれば
そこにはコウモリが来ています。

ダイトウオオコウモリは飛ぶために
身体を軽くするように食べ物をお腹に貯めないで
口の中でその養分ジュースだけ吸って吐き出します。
だからペリットはコウモリの口の形で落ちています。
ペリットを見ればその時の餌が探れます。

姿は見えなくてもコウモリの気持ちになって
島を巡れば、南大東の自然の楽しさが
身体の底から染み渡ってゆきます。
そうなったらあなたも“ダイトンチュ”
もしかしたら黄色いマフラーのコウモリに出会うかも。

南大東Dongosabows KAZU








2005年8月 4日

『(未使用)南大東島だより』
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