それがハーブです。
でも、その引き立て役にも、ちゃんとそれぞれに物語があって・・・
例えば、今回のメイン、チキンを引き立てる「クミン」の場合。
エジプト・ナイル河の渓谷で生まれたセリ科のこのハーブには《愛する人の心変わりを防ぐ》というお話が秘められています。
それは中世のヨーロッパでのこと。
たくさんの愛情を育んできた恋人同士が結婚式を挙げるとき、2人はポケットにこの「クミン」を忍ばせておくといいます。
というのも、
花嫁にとっては神秘的な香りを持つ「クミン」を上手に使ってお料理ができるということは、
夫を家庭に引きつけ、浮気なんぞされない腕前を持っていることの証。
また、
花婿にとってはその花嫁に十分な量の「クミン」を持ち帰って与え、そして、妻の貞節を信じ自らも浮気をしないという証にするからです。
「クミン」は男女の愛を確実につなぎあう、そんな物語の主人公。
物語の中では引き立て役ではなくてメインとして存在するのです。
「クミン」は現在、エジプトはもちろん、モロッコなど北アフリカ・トルコ・シシリー島・インド・イランなどでも栽培されています。
その昔、エジプトからメソポタミア(今のイラクやイラン)地方に、商人たちが持ち込んだのをきっかけにインドまで広がったのですが、今となってはインド料理には欠かせないハーブのひとつ。
独特の強い香りはお肉料理のほかに、クスクスやチリコンカーンなどにもピッタリ!
チーズと合わせても最高です。
〈材料(3〜4人分)〉
鶏スペアリブ 500〜600g〈作り方〉
*下味として
コルコル 大さじ1/2塩 小さじ1/2
サラダ油 小さじ1
粗挽きこしょう 少々
カイエンヌペッパー 少々
クミン 少々
コリアンダー 少々
(1)下味の材料を合わせてスペアリブをもみ込み、10分ほどおく。
(2)魚焼きグリルに並べ、片面5〜6分、中火で焼く。裏返して同じく5〜6分程焼く。
(3)器に盛り付け、お好みでライムなど搾っていただく。
〈ポイント〉
・調味料はミックススパイスなどで代用するとかんたんにつくれます。
・魚焼きグリルの他、トースターでも同じ要領でつくれます。また、アウトドアやお庭でのバーベキューメニューとしてもおすすめです。